IPv6とは?v6プラスとの違いと、実は速度が速くならない本当の理由

IPv6が気になっていますね。
IPv6に申し込むと回線速度が速くなると聞いたんだけど、そもそもIPv6って何?
本当に速くなるの?
とお悩みではないでしょうか。
結論から言えば、IPv6にしただけで速度が速くなるということは、まずありません。
それではなぜ、多くの光回線の公式サイトでIPv6が速いと言われているのでしょうか。
その理由について、図でわかりやすく紹介していきます。
この記事を読んで頂くと以下の内容がわかります。
- IPv6とは?IPv4との違い
- IPv6で速度が速くならない理由
- IPv6とv6プラスの違い
- 回線速度が速くなるための条件
- 速度が速い光回線はどこか
回線速度を速くするために知っておきたいことを、できるだけわかりやすく説明するので、是非御覧ください。
インターネットの住所であるIPアドレスとは
IPv6について説明する前に、そもそもIPとは何かについて簡単に説明していきます。
IP(インターネットプロトコル)とは、IPアドレスの略称で、インターネット上の住所のことを指します。
みんなが住んでいる住所のように、インターネット上にも住所が存在します。
インターネットを見る時に入力するURL(アドレス)をイメージするとわかりやすいです。
このURLを入力する作業は、言い換えればインターネット上にあるURL(住所)にアクセスしているのです。

このようにインターネット上にある特定の場所に接続するためにはIPアドレスと呼ばれる住所が必要です。
住所がわからなければ、どこに行けばいいか分からないのと同じです。
そのため、インターネットに接続する機器には全てIPアドレスが割り振られています。
具体的には、スマホやパソコン、最近ではテレビやエアコン、冷蔵庫といった家電にもインターネット接続機能がついているので、これらには全てIPアドレスが割り振られているのです。
このIPアドレスには2つのバージョンがあります。
それがIPv4とIPv6です。
その違いについてご説明していきます。
- IPアドレスはインターネット上の住所
- インターネットに接続する全ての機器にIPアドレスが割り振られている
- IPには、IPv4とIPv6の2つがある
POINT!
IPv4とIPv6はインターネット上の国のようなもの
IPv4とIPv6というのは、2つの国だと思って下さい。
その国の中には、どちらもたくさんの住所(IPアドレス)があります。
IPv4とIPv6の大きな違いは何かというと、国の広さ(IPアドレスの数)です。
IPv4は、現在広く普及している仕組みで、最大で2の32乗である約43億個のIPアドレスを持っています。
43億と聞くと非常に多いと思われるかもしれませんが、現在世界人工は約77億人と言われています。
これでは1人あたりに割り振られるIPアドレスは1つもない計算になってしまいます。
しかしながら、前述したように、最近では多くの機器がインターネットに接続できるようになっているので、1人で何個ものIPアドレスを持つようになっています。
したがって、48億個のIPアドレスではとても足りないのです。
これがIPアドレスの枯渇問題と呼ばれる問題です。
そこで登場したのが次世代のプロトコルであるIPv6です。
IPv6は、約340澗(340兆の1兆倍の1兆倍)のIPアドレスを割り振ることができるため、実質的に無限とも言えるIPアドレスを持っているので、IPv4のようなIPの枯渇はまず起こりません。

以上の理由から、現在IPv4からIPv6への移行が進んでいます。
では、このIPv6に移行することで回線速度が速くなるかについてご説明していきます。
POINT
IPv4とIPv6の大きな違いは、割り当てられるIPアドレスの数
IPv4だから遅い、IPv6だから速いわけではない。
IPv4とIPv6の違いについてご紹介してきましたが、気になるのはIPv6への移行により速度が速くなるかどうかだと思います。
IPv4は狭いからインターネットも遅く、IPv6は広いから速いと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
IPv6にしたからといって、速度が速くなることはないのです。
それでは何故多くの光回線でIPv6だから速度が速いと記載されているのでしょうか。
それを説明する前に、そもそも光回線なのに速度が遅くなる原因について説明していきます。
回線速度が遅い原因は、回線の混雑
インターネットの回線速度が遅くなる理由はいくつか挙げられますが、一番大きな問題と言えるのが、回線の混雑です。
例えば、夜間や休日に速度が遅くなったり、多くの人が住むマンションで光回線が遅いなと感じる場合は、この回線の混雑が原因である可能性が高いです。
この回線の混雑が発生する理由は、その時間帯や地域で同時間にインターネットを使っている人が多いというのがありますが、そもそもインターネットの接続方式が混雑に弱いというのが主な原因です。
具体的に説明していきます。
回線が混雑するPPPOE接続
現在主流なインターネット接続方式は、PPPoE接続とIPoE接続の2つの方式があります。
PPPoE方式は、まだインターネット接続に電話回線を使ったダイヤルアップ接続が主流だった時代からADSL・光回線への切り替わりの際に登場した接続方式です。
電話回線時代のPPP(Point-to-Point Protocol)という接続方式をADSL・光回線に応用したものがPPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)です。
PPPoE接続は、最大速度が200Mbpsとなっており、そもそも一般的な光回線の最大速度である1Gbps(1,000Mbps)の20%程度までしか速度がでません。
もちろんこれはあくまで最大値なので200Mbpsも出れば十分と言えるのですが、実際には1Mbps以下の速度になってしまうことも珍しくもありません。
その理由が、回線が混雑しやすいというPPPoEの仕組みにあります。
PPPoE接続は、帯域幅が狭く、インターネットに接続する際にユーザー認証が都度必要になります。
これは道路に例えると、1車線しかない道路に現金払いの料金所があるような状況です。

PPPoE接続は、都度ユーザー認証をしなければならないため回線に渋滞が発生してしまいます。
そのため、多くのインターネット利用者が重なるタイミングでは回線混雑による速度の遅延が発生してしまうのです。
これがインターネットの回線速度が遅くなる大きな原因です。
このPPPoE接続方式を使っている以上、混雑による回線速度の低下を回避することは困難です。
では、どのようにして回線速度を改善するかというとIPoE接続という次世代の接続方式に変える方法があります。
IPoE接続についてご説明していきます。
POINT
- インターネットの接続方式には、PPPoEとIPoEがある
- 速度が遅くなる原因は、PPPoE接続による回線の混雑
次世代のIPOE接続
PPPoE接続は、回線が混雑しやすい方式でした。
この混雑を回避するためにはIPoE接続に変更する必要があります。
IPoE(IP over Ethernet)接続は、PPPoEとは異なる帯域幅の広い通信網や設備を経由してインターネットに接続することができる方式です。
PPPoE方式と比べどう違うのがについてご紹介していきます。
IPoE | PPPoE | |
---|---|---|
帯域幅 | 広い | 狭い |
最大速度 | 100Gbps | 200Mbps |
認証方式 |
回線認証 ID/PASSなし |
ユーザー認証 ID/PASSあり |
PPPoE方式では、最大200Mbpsしか速度が出ないのに対し、IPoE方式では最大100Gbps(200,000Mbps)と実に1,000倍の最大速度まで対応できます。
NTTの光回線を使用しているフレッツ光や光コラボでは、最大値が1Gbpsなので、現状そこまでの速度は使いこなせませんが、最大値が高いにこしたことはありません。
また、IPoEはPPPoEと比べ、帯域幅が広く、認証方式も回線認証という方式で、いちいちユーザー認証がいりません。
これを道路に例えるならば、2車線の道路にETCタイプの料金所が2つあるイメージです。
道幅が広い上に、料金所はあるもののETCタイプなので、止まることもなく進むことができます。
つまり、回線混雑がしにくい仕組みのため、PPPoE方式のような回線混雑による速度の低下は非常に起こりにくいということです。

このようにIPoE接続方式にすることで、回線混雑による速度低下を回避することができます。
いろいろなサイトに記載されている「IPv6にすれば速度が速くなる」とうのは、厳密には「IPv6(IPoE接続)にすることで速くなる」ということを意味しています。
では、IPv6(IPoE接続)に切り替える前に知っておくべき注意点についても説明していきます。
PONT
- IPoE方式は、回線混雑を回避できる接続方式
- IPv6だから速いのではなく、IPv6+IPoE接続だから速い
IPv6(IPoE接続)に変更する前の注意点
ここまで見てきてIPv6(IPoE接続)にすれば速度が改善するというのがわかったかと思います。
ですが、変更前に知っておくべき注意点があるので、必ず事前に確認して下さい。
その注意点は以下の3つです。
- IPv6=IPoE接続ではない
- IPv6ではIPv4対応のサイトには接続できない
- 専用のルーターが必要
それぞれ詳細を説明していきます。
IPv6=IPoE接続ではない
まず、気をつけてほしいのが、IPv6だからと言ってIPoE接続ではないという点です。
これはどういうことかというと、IPと接続方式の関係には以下の3種類があります。
- IPv6(IPoE接続)
- IPv6(PPPoE接続)
- IPv4(PPPoE接続)
IPv6は、IPoE接続とPPPoE接続の2つに対応しています。
そのため、IPv4からIPv6に変更したとしても接続方式がPPPoE方式であれば、回線速度は改善されません。
光回線事業者やプロバイダの中には、IPv6でもPPPoE接続の事業者が存在します。
IPv6だから速くなると思い契約してしまうと、実はPPPoE接続で遅かったということになりかねないので、事前に必ず確認が必要です。
安定的な高速通信を実現したいのであれば、IPv6(IPoE接続)の事業者・プロバイダを選ぶようにして下さい。
POINT
- IPv6+IPoE接続方式でなければ速度改善はできない
- IPv6でもPPPoE方式は選ばない
IPv6ではIPv4サイトに接続できない
IPv6(IPoE接続)は速度が速くなるし、すぐに切り替えたいという方も多いと思います。
しかし、もう1つ注意しなければならないのが、この問題です。
IPoE接続に切り替えることは、IPv6に切り替えることを意味していますが、IPv6ではIPv4のサイトに接続をすることができないのです。
先の国の例に例えるならば、IPv6国とIPv4国では、使用している言語が違うのでお互いがコミュニケーションを取れず、2国間を行き来することができないのです。
しかもIPv6に対応したサイトの普及はまだまだ十分に進んでおらず、ほとんどのサイトがIPv4のサイトです。
これでは、ほとんどのサイトを見ることができないので、大きな問題です。
そのため、IPv6(IPoE接続)でありながらもIPv4に対応する必要があるのです。
そこで登場したのが、IPv6でIPv4を使った通信ができるようにしたIPv4 over IPv6という仕組みです。
IPv4 over IPv6は、IPv6でありながらIPv4にも対応できるというハイブリッドな仕組みです。
これは、IPv4のデータを変換してIPv6に見せかけることによって、IPv4のサイトをIPv6でも見られるようにしています。
また、データをIPv6に変換しているため、IPoE方式で扱うことができ、速度も速くなります。
ただし、IPv6だからと言って、IPv4 over IPv6というわけではありません。
IPv4 over IPv6の仕組みを提供している事業者・プロバイダでなければ利用することができませんので、IPv6に切り替える際は、「IPv6」、「IPoE接続」、「IPv4 over IPv6」であるという3点を必ず確認しましょう。
※IPv4 over IPv6でも一部オンラインゲームなどIPv4を利用したサービスへの接続はできない可能性があります。
ほとんどの方には影響しないと思いますが、気になる方は別途契約を検討している光回線事業者に確認をしてみましょう。
POINT
- IPv6ではIPv4サイトを見ることができない
- IPv4 over IPv6にすることでIPv6でありながらIPv4サイトも見られる
- IPv6に切り替える場合は、「IPv6」、「IPoE接続」、「IPv4 over IPv6」の3つに対応しているかを必ずチェック!
V6プラスは、「IPv6」、「IPoE接続」、「IPv4 over IPv6」の条件を満たすサービス
IPv6とよく混同されがちなもとして「v6プラス」というものがあります。
どちらも速度が改善されるという形で書かれていることがほとんどですが、これらの違いについて紹介していきます。
v6プラスとは、日本ネットワークネイブラー株式会社が提供するインターネット接続サービスのことです。
その特徴はというと、「IPv6」、「IPoE接続」、「IPv4 over IPv6」を満たす接続サービスであるといことです。
つまり、v6プラスに対応していれば、速度の改善が期待できます。
先で紹介した「IPv6」、「IPoE接続」、「IPv4 over IPv6」との違いはというと、技術的な方法に多少違いがあるようです。
しかしながら、速度改善という目的の上では、どちらも変わりはありませんので、v6プラスまたはv6プラス相当(「IPv6」、「IPoE接続」、「IPv4 over IPv6」)の接続へと切り替えることが重要です。
ただし、v6プラス利用の場合、一部利用できないサービスがあると紹介されています。
引用:GMOとくとくBB公式サイト
- 固定IPサービス
- 特定のプロトコル(PPTP、SCTP)を利用するサービス
- 一部オンラインゲームなど、特定ポートを使用するサービス
- IPv4グローバルアドレスを共有するネットワークでは利用できないサービス
- 利用可能なポート番号、ポート数に制限があるため、外部へサーバ公開をお考えの方はご利用できません。
こうしたサービスの扱いを検討されている方は、事前に事業者に問合せをするのが良いでしょう。


v6プラス相当のサービスを使うためには専用ルーターが必要
v6プラスや、IPv6 IPoE + IPv4のサービスを使うためには、回線事業者が提供するv6プラスまたはIPv6オプションの申込みが必要な他、対応したルーターを用意する必要があります。
このルーターがないと、切り替えができないため、PPPoE接続となってしまい、速度が遅いままという状態になってしまいます。
V6プラスにしても遅い場合の確認事項
v6プラス相当のサービスに申込みをし、専用のルーターを用意したにもかかわらず、速度が遅い場合には以下の内容もチェックしてみましょう。
無線子機の確認
無線子機は、パソコンやスマホ側に内蔵されている無線LANを受ける機器のことです。
無線LANにはいくつかの規格があり、規格により最大速度が決まっています。
規格 | 最大通信速度 | 周波数帯 |
---|---|---|
IEEE802.11ad | 6.7Gbps | 60GHz帯 |
IEEE802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz帯 |
IEEE802.11n | 600Mbps | 2.4G帯/5GHz帯 |
IEEE802.11a | 54Mbps | 5GHz帯 |
IEEE802.11g | 54Mbps | 2.4GHz帯 |
IEEE802.11b | 11Mbps | 2.4GHz帯 |
NTT回線を利用するフレッツ光や光コラボでは最大が1Gbps、独自回線網のNURO光やauひかりでは2Gbps~10Gbpsの速度であるということを考えると、IEEE802.11ac以上に対応していたいところです。
しかしながら、実際の速度考えれば、最低限IEEE802.11nに対応していれば、十分な速度を体感できるのではないでしょうか。
重要なのは、無線LANの親機であるルーターと、子機のどちらもがこの規格に対応している必要があるということです。
無線LANの子機がこの規格に対応していなければ、当然速度は遅くなってしまいますので、ルーターと一緒に子機も確認しておきましょう。
比較的新しいスマホを利用している人は問題ないと思いますが、古いパソコンを使っている人の場合は注意が必要です。
もし、現在使っている子機がIEEE802.11n以下の規格の場合は、別途外付けの無線LAN子機の購入を検討したほうが良さそうです。
有線LANケーブルの確認
有線LANケーブルにも注意が必要です。
ONUという回線終端装置と、ルーターを接続するケーブルにも規格があり、最大速度が決まっています。
規格 | 通信速度(bps) |
---|---|
CAT5 | 100Mbps |
CAT5e | 1Gbps |
CAT6 | 1Gbps |
CAT6A | 10Gbps |
CAT7 | 10Gbps |
CAT7A | 10Gbps |
CAT8 | 40Gbps |
最低でも1Gbps以上の速度上限を持つCAT5e以上のケーブルを使用するようにしましょう。
自分がどのケーブルを使用しているかを確認するには、ケーブルの表面にある「CAT6」などのプリントをチェックしましょう。
通常はルーターに付属しているものを使えば問題ないはずですが、古いものをそのまま使ってしまうということもあるので、念の為確認して見て下さい。
V6プラス相当に対応した光回線は?
.
ここまで見てきてv6プラスに相当するサービスへの切り替えを検討していると思います。
では、どの事業者が対応しているかについてご紹介していきます。
主要な光回線のv6プラス相当の対応状況がこちらです。
光回線 | v6プラス対応 |
---|---|
ドコモ光 | プロバイダにより異なる |
auひかり | IPv6 IPoE + IPv4 |
ソフトバンク光 | IPv6 IPoE + IPv4 |
So-net光プラス | v6プラス |
ビッグローブ光 | IPv6 IPoE + IPv4 |
@nifty光 | v6プラス |
NURO光 | IPv6 IPoE + IPv4 |
主要な光回線は、基本的にv6プラス相当に対応しています。
ただし、ドコモ光に関しては、プロバイダによって対応状況が変わります。
2019年11月時点の各プロバイダの対応状況は以下の通りです。
ドコモ光 | v6プラス対応 |
---|---|
ドコモnet | IPv6 IPoE + IPv4 |
plala | IPv6 IPoE + IPv4 |
GMOとくとくBB | v6プラス |
@nifty | v6プラス |
DTI | IPv6 IPoE + IPv4 |
BIGLOBE | IPv6 IPoE + IPv4 |
andline | v6プラス |
Tigers-net.com | v6プラス |
エディオンネット | ✕ |
BB.excite | ✕ |
hi-ho | IPv6 IPoE + IPv4 |
SIS(スピーディアインターネットサービス) | v6プラス |
plala | v6プラス |
IC-net | v6プラス |
SYNAPSE | ✕ |
Rakutenブロードバンド | ✕ |
@ネスク | ✕ |
TiKTiKi | ✕ |
COARA | ✕ |
OCN | v6プラス |
@TCOM | v6プラス |
TNC | ✕ |
AsahiNet | ✕ |
WAKWAK | ✕ |
@ちゃんふるネット | v6プラス |
プロバイダによっては、IPv6でもPPPoE接続というケースがあるため、ドコモ光を検討中の方はプロバイダを選ぶ際にはご注意ください。
まとめ
これまできたように単にIPv6に変更したからといって速度が改善されるわけではないということがお分かり頂けたと思います。
速度改善のためにはv6プラス相当のサービス、すなわち「IPv6」「IPoE接続」「IPv4 over IPv6」を満たすサービスへの申込みと、対応したルーターが必要です。
速度改善をお考えの方は、是非こちらを参考に速度改善に取り組んで下さい。
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